水先人(パイロット)の紹介

水先人の仕事 港の安全を守る水先人

業務の引受け

水先業務は、船長の要請を受けた水先人が船長のアドバイザーとしてその船に乗り込み、目的地まで導く形で実施されます。
水先人は、船長から乗船の要請を受けたときは正当な理由がない限りそれを断ってはならないという引受け義務が法律(水先法)で決められています。
これは、水先業務が船舶交通と水域の安全を守る極めて公共性の高い仕事であることに外なりません。

業務の流れ

水先業務には、単一の港の範囲内で行われる入出港業務と広い水域で行われる航行業務とがあり、それぞれの業務の流れには多少の違いがありますが、ある港に入港する船舶の水先業務を例にとり概ね標準的なケースを紹介します。

1水先業務要請の受付

水先業務要請の受付

水先業務の要請は、船会社や船舶代理店から水先人会の事務所に電話やFAX等で入ります。

2要請船に急行

要請船に急行

要請を受けた水先人は、水先艇(パイロットボート)に乗船し、沖合の乗船場所に向かいます。

3要請船に乗船

要請船に乗船

要請船に到着した水先人は、乗下船設備(パイロットラダー等)を使用して要請船に乗り込みます。
乗下船時は海中転落等の危険を伴うため、安全に乗下船できるよう細心の注意を要します。

4船長との情報交換

船長との情報交換

乗船したら、直ちに船橋に向かい、船橋で、船長から船舶の性能など操船に必要な情報を入手し、船長に対しては水域の状況や航行計画を説明します。

5航行業務

航行業務

浅瀬や潮流などの自然条件、他の船舶や操業中の漁船などの状況を把握しつつ、また、海上交通センターが置かれている水域では、所要の報告・情報入手を行いながら針路や速力などを船長にアドバイスします。
航行時には、視界や天候の急変、航法を違反する船舶の接近など緊張が高まる場面に遭遇することも少なくなく、注意深い慎重な判断が求められます。

6入港・着岸業務

入港・着岸業務

港に近づくにつれ大小様々な入出港船舶で輻輳します。入港に備え減速しますが、減速にともない船舶の運動性能が低下し制御が困難になるため、曳船(タグボート)が操船業務に加わります。大きな船舶の場合は、多数の曳船を配備します。
目的地の岸壁等への接近にともない風圧や潮流の影響を考慮しつつ船舶の主機操作や曳船への押し引きの指示を頻繁に行い、全神経を船舶の前後位置や着岸姿勢の制御に集中します。着岸速度は毎秒数センチメートルのゆっくりした速さです。

7業務完了

業務完了

着岸後、船舶を係留すれば業務が終了となります。
業務終了後は下船することになりますが、業務終了時に船長の「Good job!」などの感謝の言葉を受けます。
水先人は重い責務と操船技術の向上という課題を背負う一方、各国の船長からのこうした感謝の言葉を糧に、日夜業務に従事しています。

英会話能力

水先人が乗船する船のほとんどが外国船で、当然のことながら船長や乗組員もほとんどが外国人です。
操船に当たっては国際的なIMO標準海事用語による操船号令を使用する必要がありますし、情報交換も全て英語で行われます。
また、緊急事態が発生した時でも慌てることなくきちんとお互いの意思疎通ができることが大切です。
このように彼らと良好なコミュニケーションを図らねば安全運航はできません。
そのためには高い英会話能力が要求されます。

水先人の責任

水先人乗船中に不幸にして海難事故が発生した際の損害賠償額は巨額になるケースが多く、一水先人が弁償できる範囲を大きく超えることから、仮に水先人の過失によって海難事故が起こり損害賠償請求が生じても水先人と船長(船社)との間で取り交わされる水先契約(水先約款)上の「免責条項」によって当該損害賠償責任は船社が負うことになっており、水先人の責任は水先料の範囲内とされています。

ただし、水先人の過失が故意または重大な過失であると判断された場合は、上記水先約款の免責条項は適用されません。また、事故の内容・結果によっては行政責任や刑事責任を問われることもあり得ます。これらの責任は水先人の世界だけでなく、他の運送業(免許を必要とする業務)でも同様に問われます。

後述しますが、水先人は個人事業者であるため会社員のように会社が対応してくれるようなことはなく、あくまでも水先人個人の責任となります。
もちろん水先人会としていろいろな援助は行いますが、その意味では厳しい職業であると言えます。

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